動的スロットリング

大規模なダウンロードが使用可能になった時、適用環境内の各リンクに、帯域幅に関する固有の問題が生じることがあります。サーバーからクライアントのリンク、サーバーからリレーへのリンク、および リレーからクライアントへのリンクについて検討する必要があり、それぞれに個別の調整が必要な場合があります。別のセクションで説明したように、単純にデータ・レートの最大値を設定 (スロットリング) することが可能であり、そのために、順守可能な幅広いポリシーが用意されています。例えば、BigFix クライアントでリレーからのホップ数が 3 を超えている場合は、クライアントを 2 KB/秒にスロットリングすることが考えられます。ただし、最適なデータ転送速度は、現在の階層およびネットワーク環境に応じて、大幅に変わる可能性があります。

より適切な手法は、ネットワーク容量全体を監視して分析する動的な帯域幅スロットリングを使用することです。標準的なスロットリングでは最大データ・レートを指定するだけですが、動的なスロットリングでは「ビジー時間」の比率が加わります。これは、帯域幅のうち、ネットワークがビジーであるときに割り振る部分の割合です。例えば、ネットワーク・トラフィックの存在が検出された場合に、ダウンロードに使用される帯域幅を使用可能な帯域幅の 10% 以下に抑えるように指定できます。動的なスロットリングでは、ビジー率が低すぎて実際的でない場合のために、最小データ・レートも指定します。

任意のリンクに対して動的スロットリングを有効にすると、現在のデータ・スループットが監視され、分析されて、適切なデータ・レートが設定されます。競合するトラフィックが存在しない場合は、スループットが最大レートに設定されます。トラフィックが存在する場合は、指定したパーセンテージまたは最小レートのどちらか高い方までデータ・レートがスロットリングされます。動的スロットリングを正しく機能させるには、サーバー側とクライアント側の両方で動的スロットリングを有効にする必要があります。

動的な帯域幅スロットリングは、コンピューター設定で制御します。リンクごとに、以下の 4 つの基本的な設定があります。
DynamicThrottleEnabled
この設定のデフォルトはゼロ (無効) です。その他の任意の値の場合、指定されたリンクの動的スロットリングが有効になります。
DynamicThrottleMax
この設定は、通常、デフォルトでは最大の符号なし整数値になります。これはフルスロットルを示します。リンクによっては、この値に、最大データ転送速度 (1 秒あたりのビット数または K ビット数) が設定されます。
DynamicThrottleMin
この設定のデフォルトはゼロです。リンクに応じて、この値に、最小データ転送速度 (1 秒あたりのビット数または K ビット数) が設定されます。この値は、以下に示すパーセンテージ・レートの下限を設定します。
DynamicThrottlePercentage
この設定は、デフォルトでは 100% です。100% は、通常の (動的ではない) スロットリングと同じ効果があります。これは、最大帯域幅のうち、ネットワークがビジーであるときに使用する部分の割合です。通常は、5% から 10% の値が使用され、既存のネットワーク・トラフィックよりも優先されることがないようにします。(この設定にゼロを使用すると、100% と同じことになります。)

動的帯域幅設定は、他の設定と同じように作成または編集することができます。つまり、任意のコンピューター・リストで項目 (または項目のグループ) を右クリックし、コンテキスト・メニューから「コンピューターの設定を編集」を選択します。

具体的な変数名には以下のものがあります。
BigFix のサーバー設定とリレー設定:
_BESRelay_HTTPServer_DynamicThrottleEnabled
_BESRelay_HTTPServer_DynamicThrottleMaxKBPS
_BESRelay_HTTPServer_DynamicThrottleMinKBPS
_BESRelay_HTTPServer_DynamicThrottlePercentage
BigFix クライアントの設定:
_BESClient_Download_DynamicThrottleEnabled
_BESClient_Download_DynamicThrottleMaxBytesPerSecond
_BESClient_Download_DynamicThrottleMinBytesPerSecond
_BESClient_Download_DynamicThrottlePercentage
一括設定:
_BESGather_Download_DynamicThrottleEnabled
_BESGather_Download_DynamicThrottleMaxBytesPerSecond
_BESGather_Download_DynamicThrottleMinBytesPerSecond
_BESGather_Download_DynamicThrottlePercentage
注: 上記の設定を有効にするには、影響を受けるサービス (サーバー、リレー、またはクライアント) を再起動する必要があります。

サーバーとそれに接続されたクライアントに、異なる最大値と最小値を設定した場合、接続において、2 つの値のうち小さい値が選択されます。