主なバックグラウンド・アプリケーション・タスク

BigFix Inventory の主な目的は、収集されたデータに基づいて PVU 監査レポートと RVU 監査レポートを生成することです。すべての計算は、正式なサブキャパシティー・ライセンス文書に記載されている PVU ライセンスおよび RVU ライセンスの価格設定規則に沿って行われます。

集計

集計は BigFix Inventory の主な計算タスクです。集計処理は、日次ベースで特定の時間に実行される、スケジュールされたバックグラウンド・タスクです。デフォルトでは、サーバー時間が真夜中になると実行されます。タスクでは、ソフトウェア・スキャンおよびキャパシティー・スキャン中にエージェントから収集されたデータに基づいて、PVU 値および RVU 値を計算します。

再集計

ソフトウェア・ディスカバリー後に初期のソフトウェア・バンドルが正しく、再バンドルが不要な場合、BigFix Inventory サーバー側で必要な計算プロセスは集計のみで、一度計算されたデータは常に正しいデータです。ただし、このようなケースはめったにありません。BigFix Inventory によって提示された初期バンドルの一部を常に変更する必要があります。複雑な製品の場合、正しいバンドルを常に確認する必要があります。複雑な製品とは、複数のソフトウェア・オファリングでバンドルできる製品のことです。再バンドルが完了した後、既に計算された PVU および RVU の値を更新する必要があります。再集計タスクは、既に計算された PVU および RVU の値を再計算または更新するように設計されています。データの再集計がトリガーされることがある手動アクションには、以下のものがあります。
  • ある製品から別の製品へのソフトウェア・インスタンスの再バンドル
  • デフォルト・バンドルの確認
  • ソフトウェア・インスタンスを PVU または RVU の計算に含める
  • ソフトウェア・インスタンスを PVU 計算または RVU 計算から除外する
  • インスタンスを共有する
これら 5 つのアクションは、アプリケーション・ユーザーがバンドル・データを調整するために頻繁に実行するきわめて基本的な操作です。手動アクションのほかに、バンドル・アシスタンスによって計算済みデータの更新がトリガーされることもあります。

集計と再集計の比較

集計処理は、多くのエージェントから集めたすべての製品についてのデータを短時間で計算するように設計されています。これに対し、再集計処理は、既に集計が済んでいる選択された製品のサブセットについての PVU および RVU の値を素早く再計算するように設計されています。すべてのエージェントからのすべての製品の集計は、同じ量のデータの再集計よりもずっと (何百倍も) 高速です。ただし、PVU 値および RVU 値の再計算が必要な製品が 1 だけである場合、集計では 1 つの製品のみのレポート値を再計算することはできず、ディスカバーされたすべての製品を同時に再集計する必要があるため、再集計の方が集計よりも高速になります。

インベントリー・ビルダー

インベントリー・ビルダーは、定期的に実行されるもう 1 つのバックグラウンド・タスクです。この期間中、エージェント・ソフトウェア・スキャンからのデータに基づいてソフトウェア・インベントリーが構築されます。つまり、このタスクはディスカバーされたソフトウェア・コンポーネントのリストを、ディスカバーされたソフトウェア製品のリストに変換します。ほとんどの場合、インベントリー・ビルダーによって実行される検出済みコンポーネントの初期ソフトウェア・バンドルは、信頼度が非常に低水準となります。

バンドル・アシスタンス

集計と同じように、バンドル・アシスタンスも定期的なバックグラウンド・タスクです。これはインベントリー・ビルダー・タスクと強く関連しており、インベントリー・ビルダーの実行が終了すると、バンドル・アシスタンスが開始されます。

バンドル・アシスタンス・タスクが実行されると、未確認のすべての製品インスタンスとの最適なバンドル・コネクションが決定されます。新しく計算されたバンドルが、現在の製品バンドルよりも高い信頼度を持つ場合、バンドル・アシスタントによって、それらの製品インスタンスは、最も一致する新しい製品に再バンドルされます。大部分のケースでは、後続のバンドル・アシスタント実行によって、ほとんどの (あるいはすべての) 未確認製品インスタンスに対して同じレベルの信頼度が計算されます。ただし、新しく計算された信頼水準が古い信頼水準よりも高くなることがときどきあり、特に未確認インスタンスの割合が高い大規模環境では実際に頻繁に発生することがあります。この場合、ソフトウェア・インスタンスは再バンドルされます。自動バンドルによって、古い未確認製品インスタンスを再バンドルすることができる最も一般的な理由は、以下の通りです。
  • 新しい部品番号のセットのインポート
  • 新しいソフトウェア・カタログのインポート
  • 1 つの製品インスタンスの手動再バンドルまたは手動確認の後、区画またはインフラストラクチャー連結規則を使用することによって、別の未確認製品インスタンスの方が適切にバンドルされることがあります
  • また、新しい単純なソフトウェア・コンポーネント (たった 1 つの製品に割り当て可能なコンポーネント) がエージェントによって検出されることで、区画またはインフラストラクチャー連結のバンドル・アシスタント規則によって、他の未確認インスタンスの計算が変更されることがあります。
ただし、バンドル・アシスタントは、すべての未確認製品インスタンスの確認または再バンドルのために行う必要がある手動作業に置き換わるものではありません。バンドル・アシスタントによって計算される信頼水準は、すべての未確認製品インスタンスについて最適となる可能性があるバンドルのオプションを提供することによって、手動でのバンドルを容易にするためのものです。

抽出、変換、ロード (ETL)

一般に、ETL (Extract (抽出)、Transform (変換)、Load (ロード)) とは、 1 つのデータベースからのデータを転送して別のデータベースに配置することを目的とした、3 つのデータベース機能を結合したデータベース使用のプロセスです。最初の段階の「抽出」では、さまざまなソース・システムからデータを読み取って抽出します。第 2 段階の「変換」では、データを元の形式から、ターゲット・データベースの要件を満たす形式に変換します。最後の段階の「ロード」では、新しいデータがターゲット・データベースに保存され、これでデータの転送処理が完了します。

BigFix Inventory の「抽出」段階では、BigFix サーバーからデータを抽出します。このデータには、インフラストラクチャー、インストールされたエージェント、および検出されたソフトウェアに関する情報が含まれます。また ETL は、新しいソフトウェア・カタログが使用可能かどうかを検査したり、エンドポイントに存在するソフトウェア・スキャンおよびファイルに関する情報を収集したり、VM マネージャーからデータを収集したりします。

次に、抽出されたデータは、BigFix Inventory データベースにロードできる単一フォーマットに変換されます。この段階では、スキャン・データとソフトウェア・カタログの突き合わせ、プロセッサー・バリュー・ユニット (PVU) の計算、キャパシティー・スキャンの処理、および XML ファイルに格納される情報の変換なども行われます。

データの抽出および変換が済んだら、データはデータベースにロードされ、BigFix Inventory によって使用可能になります。