Campaign と Engage の統合の概要

IBM Campaign と IBM Engage の統合では、IBM Campaign のマーケティング・セグメンテーション・ツールと、IBM Marketing Cloud のメッセージング機能とが組み合わされます。

統合により何が提供されるか?

この統合により、デジタル・マーケティング担当者は、複数のチャネルでやり取りする機能、顧客対話を個別設定してトラッキングする機能、および機密性の高い個人データを保護する機能を活用できます。マーケティング担当者は、E メール、SMS テキスト・メッセージング、およびモバイル・プッシュ・キャンペーンを通じて顧客に到達するために、特定のオーディエンスをターゲットとして指定できます。

重要: 統合により、プログラム、スコア設定、送信時刻の最適化などの IBM Marketing Cloud 機能を、デジタル・マーケティング担当者が使用できるようになるわけではありません。コンタクトの決定およびスコア設定に関するすべてのビジネス・ロジックは、Campaign フローチャートで、あるいは IBM Campaign に結合されたコンタクト・ソースを直接操作するその他のシステムで使用する必要があります。

統合コンポーネント

統合には、以下のコンポーネントが関係しています。

  • IBM Campaign。通常は企業ファイアウォールの背後にインストールされる、オンプレミス・マーケティング・アプリケーション。
  • IBM Engage、デジタル・マーケティングおよびリード管理を提供するクラウド・ベース・サービス。
  • IBM UBX。アプリケーション間でデータ交換するためのクラウド・ベース・サービス。
  • IBM UBX Toolkit。オンプレミス・アプリケーション (Campaign など) が UBX と対話するための手段を提供します。

これらのコンポーネントの相互運用の方法について、以下の図に示します。

統合コンポーネント

IBM Campaign とは?

IBM Campaign は、マーケティング・データをファイアウォールの背後に保つことを望む組織のためのオンプレミス・ソリューションです。マーケティング担当者は、Campaign のフローチャートを使用することにより、マーケティング・キャンペーンのためのターゲット・セグメントを作成します。フローチャートは、複数のデータベースやフラット・ファイルのデータを視覚的に作成したり組み合わせたり操作したりするための手段を提供します。例えば、単一のフローチャートで DB2 データベースから名前と住所をプルし、SQL データベースから購入履歴をプルし、Hive や Amazon Redshift などのビッグデータ・ソースから顧客ごとの設定を取得することができます。キャンペーン実行後、レスポンス・データを Campaign に戻して、その後の再ターゲット処理に使用することができます。

IBM Marketing Cloud とは?

IBM Marketing Cloud は、組み込みの分析機能とともに、E メール、SMS、およびモバイル・プッシュを組み込んだ、デジタル・マーケティングとリード管理のソリューションを提供します。これは、 Engage、UBX、および Journey Designer で構成されるクラウド・ベースのデジタル・マーケティング・プラットフォームです。

IBM UBX とは?

IBM Universal Behavior Exchange (UBX) は、IBM Commerce アプリケーションと IBM Business Partner アプリケーションの間の商業的相互作用において、個人とその振る舞いを識別するデータを交換するための手段を提供するクラウド・ベース・サービスです。

UBX は、さまざまなチャネルで発生するさまざまなイベントを認識します。例えば、E メール通信の場合、受信者が E メール・メッセージ内のリンクをクリックすると、1 つのイベントが生成されます。サブスクライブ側アプリケーションがイベント・データを容易に解釈できるようにするため、各イベント・タイプが UBX に登録されています。

UBX に接続するための IBM Campaign の組み込み機能の概要

IBM Campaign には、Campaign へのデータ・フローを改善する IBM Universal Behavior Exchange (IBM UBX) に接続するための組み込み機能があります。UBX ユーザー・インターフェースで IBM Campaign エンドポイントを登録できます。

Campaign インストーラーは UBX エンドポイント登録ユーティリティーも <campaign_home> / toolsUBXTools フォルダーにインストールします。インストールされた UBXTools フォルダーには、Campaign エンドポイントを UBX に登録するために必要なすべてのファイルがあります。

注: オーディエンスをシンジケートする場合は、オーディエンス・パブリッシャーとオーディエンス・サブスクリプションで UBX Toolkit が引き続き必要になります。

UBX Toolkit とは?

UBX Toolkit は、Campaign と Engage の統合をサポートするためにインストールおよび構成する必要のあるコンポーネントです。UBX Toolkit は、IBM Campaign が UBX と対話するための手段を提供します。この統合のコンテキストにおいて、IBM Campaign はイベント宛先 (イベント・コンシューマー・エンドポイント) です。Campaign は、UBX Toolkit の助けにより UBX と接続します。

統合では、UBX Toolkit を利用することにより、キャンペーン・レベルで、E メール、SMS、およびプッシュに対するレスポンダーをトラッキングします。UBX Toolkit は、開く、クリックする、バウンスするなどのレスポンス・データを、Engage から UBX へ経路指定し、Campaign に戻します。

IBM Journey Designer とは?

IBM Journey Designer は、IBM Marketing Cloud の一部です。これは統合自体の一部ではありませんが、Campaign および Engage との併用が可能です。マーケティング・チームは、Journey Designer を使用することにより、自分たちのプログラムやカスタマー・ジャーニーのストーリーボードとして、視覚的に人を引き付ける、使い勝手の良いものを作成できます。複数のチームが、オンライン対話 (E メールやモバイル・プッシュ) やオフライン対話 (ダイレクト・メールや店内イベント) で共同作業を実行することができます。 それらの対話が、全体としてカスタマー・ジャーニーを構成します。Journey Designer のドキュメンテーションは別個に提供されており、Campaign と Engage の統合の一部としてはカバーされていません。

マーケティング担当者が統合をどう使用するのか?

マーケティング担当者は、IBM Campaign を使用することにより、希望するオーディエンス・セグメントを選択するフローチャートを作成し、希望するチャネル (E メール、SMS、またはプッシュ) のプロセス・ボックスを構成します。フローチャート実行時に、セグメンテーションおよびコンタクト・データが IBM Campaign から IBM Engage データベース、コンタクト・リスト、およびリレーショナル・テーブルにアップロードされます。次に Engage は、指定されたマーケット・セグメントにメッセージを送信します。マーケティング・キャンペーン実行後、Engage によりレスポンス・データがトラッキングされ、UBX および UBX Toolkit を介して Campaign に返されます。

マーケティングの専門家は、以下の方法で統合された製品を使用します。

  • Engage を使用することにより、E メール、SMS テキスト、またはモバイル・プッシュのメッセージ・テンプレートを作成します。
  • Campaign を使用することにより、オンプレミス・データベースやフラット・ファイルからデータをプルすることで、マーケティング・キャンペーンの対象となる個人を選択したりセグメント化したりします。例えば、持ち家所有の 30 歳から 34 歳までのすべての個人を検索します。
  • Campaign を使用することにより、選択したデータを Engage にアップロードして、E メール、SMS テキスト・メッセージング、またはモバイル・プッシュの各チャネルで使用できるようにします。
  • Campaign を使用することにより、E メール・メッセージ、SMS メッセージ、またはモバイル・プッシュ・メッセージをパーソナライズします。例えば、E メールの件名行を変更したり、メッセージ本体中の変数を、特定のテキストに置換したりします。
  • Campaign または Engage を使用することにより、「送信」を開始します。
  • 完全自動メッセージングでは、フローチャート実行時に、選択されたオーディエンス・データを Campaign が Engage にアップロードした時点で直ちにメッセージが送信されるよう、プロセスを自動化できます。
  • キャンペーン実行後、Campaign を使用することにより、UBX Toolkit で Campaign にダウンロードしたレスポンス・データに基づいて、レスポンダーと非レスポンダーのターゲット設定を再度行います。
重要: 統合により、プログラム、スコア設定、送信時刻の最適化などの IBM Marketing Cloud 機能を、デジタル・マーケティング担当者が使用できるようになるわけではありません。コンタクトの決定およびスコア設定に関するすべてのビジネス・ロジックは、Campaign フローチャートで、あるいは IBM Campaign に結合されたコンタクト・ソースを直接操作するその他のシステムで使用する必要があります。