インターネットクラスタマネージャの仕組み

Internet Cluster Manager (ICM) では、Domino® クラスタを使用して、HTTP クライアント (インターネットブラウザ) が Domino Web サーバーにアクセスするときにフェイルオーバーとワークロードの均衡を実現できます。これにより、クライアントが Web サーバーとデータベースをいつでも使用できる可能性が高くなります。ICM は Domino Enterprise Server または Domino Utility Server 上で実行できます。Domino クラスタを通常通りインストール、設定してから ICM を設定します。ICM は、HTTP と HTTPS の両方のプロトコルをサポートします。

ICM は、クラスタにある Domino Web サーバーと HTTP クライアントとの間の中継機能を提供します。Domino Web サーバーがクラスタ内で動作しているとき、HTTP クライアント要求を ICM に転送する URL を作成します。ICM は、クラスタにあるサーバーとデータベースの可用性に関する情報を保持します。クライアント要求を受け取ると、要求されたデータベースのレプリカを保存していて、使用できる可能性が最も高いサーバーにクライアントをリダイレクトします。

ICM は、クラスタにある Web サーバーに調査を定期的に送信して、サーバーの状態と使用できる可能性を確認します。クライアント要求を受け取った ICM は、クラスタデータベースディレクトリの情報を参照して、要求されたデータベースを保存しているサーバーを見つけます。次に、要求されたデータベースを保存していて、使用できる可能性が最も高いサーバーを判別し、そのサーバーにクライアントをリダイレクトします。この結果、クライアントは ICM とのセッションを終了し、選択されたサーバーと新しいセッションを開始します。この場合、URL のホスト名が変わることがあります。データベースのパスが対象サーバーで異なる場合は、URL にあるデータベースのパスも変化します。

Web サーバーがクライアントに表示するページに別のデータベースへのリンクが含まれているときに、これらのリンクにアクセスするユーザーが確実に ICM を経由するようにするため、以下のような場合には ICM ホスト名が含まれたリンク URL が Web サーバーによって生成されます。

  • 元のデータベースと同じサーバー上にデータベースが常駐する場合
  • データベースが別のサーバー上に常駐するが、それらのデータベースのレプリカが、元のデータベースが含まれるサーバー上にある場合

これら以外の場合は、Redirect URL コマンドを使用して、他のサーバーへのリンクを作成できます。

ICM は、クラスタ内部のサーバーでも外部のサーバーでも実行できます。クラスタ内部のサーバーで稼働している ICM は、クラスタデータベースディレクトリのローカルコピーにアクセスします。クラスタ外部のサーバーで稼働している ICM はクラスタにあるサーバーを選択して、そのサーバーのクラスタデータベースディレクトリにアクセスします。ICM が選択したサーバーが使用不可になると、その接続はクラスタにある別のサーバーにフェイルオーバーします。

ICM は、Domino ディレクトリのローカルコピーを必ず使用します。したがって、ICM はクラスタと同じ Domino ドメインに配置する必要があります。

パフォーマンスに関する考慮事項

ICM を使用すると、ほとんどの状況でパフォーマンスの向上が認められます。ICM を使用するとわずかなオーバーヘッドが発生しますが、ワークロードの均衡により得られるパフォーマンス上の利点はそれをはるかに上回ります。ワークロードが既に均衡している場合は、パフォーマンスに大きな変化は見られません。